不謹慎、だけど、お気に入り
彼女と写っている写真があるはずだ、と乱雑な机の周りをあさりまくったが出て来ない。
不思議だ。どこに行ったのだろう?
代わりに見つけたのが、自分が書いた下手くそなお話と友人にもらったらしき短編が入っているファイル。
自分の下手くそな話は直視に耐えないし、この短編、人殺しの話で、いまのかえんには不謹慎に感じられること、この上ない。
しかも、覚えていないくらい以前にもらったものなだけあって描写があまりうまくない。友人の最近のものならもっとうまいのに。
話も、大して面白くない…でも、面白くないけど、この話の雰囲気は好きだ。私のために書いてくれたものなのかな。
そういえば、序章だけ読ませてくれて「続きは後で」って3年前くらいに言われたあの小説、完成したのかどうか聞いてみようか?なんて気になってきた。
彼女との縁を探していたはずが、他の友人につながった。
彼女は亡くなってからも私によくしてくれるのだ…とまたしんみりした気分になる。
嫌になるくらい泣いたのに、まだ涙が出てくるなぁ…
再度、読み返してやっと気付いた。
何だよこの短編書いた覚えがあるよ。
友人にもらったなんて失礼な勘違い。
友人にもらった短編はまた別のものだよ。
自分の記憶の曖昧さと、友人への申し訳のなさで別の涙が出てきた夕暮れ。