あき

駅からは東に向かって自転車を漕ぐ
真正面に月が見える
薄い桃色と橙色に縁取られた
地平から出てきたばかりの 大きな月
月は好きだ
太陽のようにギラギラと押し付けがましくない
ふと 気がつくとそこにある
まるい 大きな月
優しく伸べられる月の光
たまにはそれさえうっとおしく感じるけれど
何とはなしに寂しくなって
ふと 気がつくとそこにある
まるい 大きな月
細くなったり暗くなったり明るくなったり
この柔らかい変化が好きなのだ
不変でないところが好きなのだ
ふと 気がつくとそこにある
まるい 大きな月だから好きなのだ