かえんが泳ぐ。

 実は水泳が趣味なんです。おおっぴらに言っても恥ずかしくはないんだけど、年に数回しか泳がないし、なにぶん平泳ぎとクロールしかできないもので…。背泳ぎも一応はできるのだけど、どうしても沈んでしまいがちだからしません。
 
 そんなこんなで半年振りのプールサイド。
 この時期でしかも午後2時ともなれば、利用者は少なくて1コースを占領できました。そこで、思う存分に平泳ぎをしていたところ、途中でかえんがいるコースにおじいちゃんが入ってきてクロールを始める。クロールと平泳ぎじゃ断然クロールの方が速いから、おじいちゃんとかえんの接触は避けられず。隣のコースに行けば、そこのおじさんが1人でクロールしてるというのに、なぜ平泳ぎをしているかえんのとこに来たのだろう?お互いに嫌な思いしかしないのに…と、思っていたら、かえんコース(もちろん公共のプールだけどさ)におばちゃんが入ってきた。そして、そのおばちゃんもざぶざぶクロールを始める。他のコースだって空いているのに!!
 たくましいおばちゃんと黙々と泳ぐおじいちゃんに追い立てられるように、かえんはかえんコースを放棄。水中ウォーキング専用コースにて、黙々と歩く。隣のウォーキングコースには、学生らしき若いカップルがいて、なんか親しげに話しながら水中ウォーキング中。一緒にプールでデートなんて羨ましいなぁ、となんとはなしに見ていたらカノジョに睨まれる。ぎゃあ。べ、別に巨乳だなぁ、とか、いちゃついてんじゃねぇよ、なんて考えてたわけじゃないっすよ!!と弁解することもできずに非常にきまりの悪い思いをする。
 ふと、元・かえんコースに目をやるとおばちゃんは相変わらず床に足をつくことなくざぶざぶ泳ぎ続けているし、おじいちゃんも黙々とクロール。クロール。クロール。
 くそう、クロールは平泳ぎよりも疲れるから嫌なんだ!と思いつつもウォーキングに飽きたかえんは再び遊泳者コースに戻って果敢に泳ぎ始めた…のだけど、50m×3を泳いだところで力尽きる。
 もういいや。平泳ぎできないし。と思ってプールサイドを離れて更衣室に戻ると、更衣室の洗面台にてさっきのカノジョが念入りにメイク中で再び気まずい思いをする。なんか…なんか今日はあまり運がいい日じゃなかったんだ…ということにしておこう。
 
 それでもやっぱり泳ぐと気持ちのいいもので、今夜はよく眠れそうです。
 
 と、いうことで、長いだけでオチの無い話はおしまい。水泳はやっぱいいわ!!というお話でした。